【弁護士の解答】
被相続人の配偶者、子、直系尊属です(民法1042条1項)
Q1.遺留分を有する者(遺留分権利者)は誰ですか?
Q2.胎児に遺留分はありますか?
【弁護士の解答】
胎児は、生きて生まれた時に、子として遺留分が認められます。(民法886条)
Q3.子の代襲相続人に遺留分はありますか?
【弁護士の解答】
子の代襲(だいしゅう)相続人も「相続人」ですから、遺留分があります(民法887条2項・3項参照)
Q4.相続欠格者、相続を排除された者、相続放棄した者に遺留分はありますか?
【弁護士の解答】
これらの者は初めから相続人ではないとみなされ、あるいは相続資格をはく奪されているため、遺留分はないです。
ただし、相続欠格者、相続を排除された者は、当該相続人の相続資格が剥奪されたにすぎないため、代襲相続が開始し、直系卑属が相続人かつ遺留分権利者になります(民法887条2項・3項、1042条1項・2項)。
他方、相続放棄の場合は、代襲相続は生じません(民法939条)
Q5.総体的遺留分とはなんですか?
【弁護士の解答】
相続財産から相続人の自由分を除いた割合的な遺留分のことをいいます。
自由分とは、被相続人が自由に処分できる財産をいいます。
遺留分とは、遺留分権利者に保障される相続財産の一定割合のことをいいます。
個別的遺留分とは、総体的遺留分を、法定相続分の原則に従って配分した各遺留分権利者に固有の遺留分をいいます。
つまり、総体的遺留分は、相続財産×1/3 か 相続財産×1/2 で算定されます。
個別的遺留分は同総体的遺留分に、法定相続分を掛けたものです。
Q6.遺留分の算定方法を教えてください
【弁護士の解答】
遺留分額は、
①民法1043条、1044条に従って、「被相続人が相続開始の時に有していた財産全体の価額」に「その贈与した財産の価額」を加え、
②その中から「債務の全額を控除」して、「遺留分算定の基礎となる財産額」を確定し、
③それに民法1042条所定の遺留分の割合を乗じた額(総体的遺留分)を算定し、
④複数の遺留分権利者がいる場合は、さらに遺留分権利者それぞれの法定相続分の割合を乗じた額(個別的遺留分)を算定し、
⑤「遺留分権利者が特別受益財産を得ているとき」はその価額を控除して、算定します。
そして、遺留分侵害額は、さきほど算定した「遺留分額」から、
⑥遺留分権利者が相続によって取得すべき財産額を控除し、
⑦同人が負担すべき相続債務がある場合にはその額を加算することによって算定します(最高裁平成8年11月26日判決)。
Q7.遺留分算定の基礎となる財産の評価基準時はいつですか?
【弁護士の解答】
遺留分の額及び範囲が確定する「相続開始時」である「被相続人の死亡時」と解されています(最高裁昭和51年3月18日)。